「スティルライフオブメモリーズ」の無料動画を安全に観る方法~ネタバレあり~

スティルライフオブメモリーズ 春馬(安藤正信)が怜(永夏子)の女性器を撮るシーン

みなさんは『スティルライフオブメモリーズ』という映画をこ存じでしょうか? 長い横文字のタイトル、しかも単語と単語の間に「・」がついてない……タイトルを聞いてもピンと来ない方も多いのではないでしょうか。

しかし「女性器を撮り続ける男の話」だと聞くと、「あぁ~、何か聞いたことある」と、なるかもしれません。聞いたことなかった人は、いま「なんじゃそれ!」と驚かれたことでしょう。

これからみなさんに、そんな歴史的とも言えるスキャンダラスなテーマを扱った映画『スティルライフオブメモリーズ』をご紹介したいと思います!!

『スティルライフオブメモリーズ』のあらすじ

東京のギャラリーで開かれている写真家・鈴木春馬の個展。木の幹や花などをアップで撮影した写真はどこか女性の性器を思わせる。

ギャラリーを訪れた怜はそんな写真に魅せられ、春馬に自分の性器を撮ってくれと依頼する。その条件は「何も質問しないこと」「撮ったフィルムは渡すこと」。

はじめは戸惑った春馬だったが、撮影を続けるうちに次第に撮影に没頭し始め、やがて怜の性器写真を「作品」として完成させたいと願うようになる。

怜の母親は画家で、病院で遠くない死を待つ身だった。一方の春馬は恋人の夏生から妊娠を告げられる。

春馬は「作品」として怜の性器写真を夏生に見せるが、夏生は理解を示そうとしない。

果たして怜、春馬、夏生、それぞれの「愛」の行方は……?

過激すぎ?それとも必然?露出シーンに賛否両論

「女性器を取り続けるカメラマンの物語」という本作の設定はどんな作品よりもスキャンダラスなものとして響きますが、実際に世の中からどのように受け入れられたのか調べてみました。

公開時、映画館では客席後方に「女性専用席」が設けられたり、定期的に「女性専用上映」の機会が設けられていたようです。男性よりも女性にこそ共感されそうな本作をより多くの人に届けようという努力がうかがえますね。

映画は東京、大阪、名古屋をはじめ、撮影地の山梨を含む1都2府5県で公開されました。そして予想通り(もくろみ通り?)、その「スキャンダル性」によって文字通りの賛否両論が巻き起しました。

感想ブログやツイートなどを見てみると、 賛否両論の【賛】の意見としては、女性器を扱った作品でヌードや濡れ場などもありながら、品を感じさせる矢崎監督の映像に感動したという意見が多く、劇場チラシに書かれている矢崎監督の「最高傑作」という意見も、定評となりつつあるようです。

セリフが棒読み?

スティルライフオブメモリーズ

【否】の意見としては、女性器を扱った「スキャンダラスな」本作を興味本位で見てみたが「思ってたのと違った」というものや、「セリフが高校生の演劇みたいで、まったく響いてこない」というような声がありました。

セリフに関して、怜役の永夏子さんが、矢崎監督の作品は「会話しているように見えて、実はお互い独り言を言い合っている」と語っています。なんと監督から「会話しちゃってるからダメ」とやり直しを求められたというエピソードも話されています(「キネマ旬報」インタビューより)。

そのあたりを踏まえると、春馬や怜のセリフの真意がより深く汲み取れて、矢崎監督作品の奥深さが味わえるのではないかと思います。

グロい?やりすぎ??露出シーンについて

スティルライフオブメモリーズの露出シーン

最後に本作を「スキャンダラス」にしている、多くの「露出シーン」について個人的な意見を書いておきましょう。

まず怜が最初に春馬と二人きりになり、「ここを、撮ってください」と言って裸の股間をゆっくりと開く場面。ここでは、ある意味本作の主役だと言える「女性器」が、画面に映りこそしないのですが、ぬっとした湿度や匂いまで感じるようで、思わず息を呑みました。

続いて、松田リマさんまで脱ぐとは知らなかったのでまず驚き、本作で一番の「過激シーン」と言えるかもしれない、お風呂で春馬に性器を触らせるシーンは生々しくもスタイリッシュで、思わず立ち上がって拍手したいような(というと大げさですが…笑)、そんな気分になりました。

この他本作では、病床で死を待つ身である怜の母親のフルヌードもあるのですが、この一切セリフを話さない、死に限りなく近い裸体が、生の儚さ、死の虚しさ、芸術家の一生というようなものを饒舌に「語って」いるように感じました。

最後に流れる「衝撃の映像」とは……??

スティルライフオブメモリーズのワンシーン

映画のエンディングでは、モノクロームで撮影された本物の女性器のドアップが、次々と大写しになります(その数50枚以上!)。これは春馬(と怜)の「完成作」という位置づけなのでしょう。

しかし当然……と言うべきか、ほとんどすべての画像はいわゆる「ぼかし」処理がされているので、その全体像は想像力で補うしかないのですが、見ていて「あぁ、二人の作品は、完成したんだな……」と、晴れがましいような達成感があります。最後まで映画を見た人にとって、もはやこの女性器から「衝撃」を受けることはなく、「スキャンダラス」なモノでもなくなっているのです。

読者の皆さん、目を閉じて、映画館で多くの観客が延々と流れる女性器のドアップ映像を鑑賞している姿を想像してみてください。ある人は微笑みながら、ある人は涙を浮かべながら……。

そんなシチュエーション込みで、『スティルライフオブメモリーズ』という作品は、本当の意味で《完成》なのかもしれませんね。そういう意味では我々もこの映画の一部であり、いわばこの映画の、性器なのであります!! あれ……僕、何か変なこと言ってます?(※イチローのモノマネで)

スティルライフオブメモリーズは「評論」が原作??

『スティルライフオブメモリーズ』の原作:四方田犬彦さんの『映像要理』
引用:https://www.amazon.co.jp/

本作の「原作」となっているのは、1984年に出版された四方田犬彦さんの『映像要理』という本です。内容は女性器について哲学的な論考を展開する評論的エッセイです。

その本の中で四方田犬彦さんは、アンリ・マッケローニというアーティストがフランスで出版した、とある写真集を紹介しています。

その写真集には「一人の女性の性器を2000枚撮り続け、その中から厳選した100枚」が収められており、四方田さんは大変な衝撃を受けたのだそうです。その写真集自体は現在でも日本への輸入が禁止されているそうで、見ることができません。

そんな「原作」を若いときに読んだ伊藤プロデューサーが感銘を受け、「その写真集が手に入らないなら、私家版を作ろう」ということで本作の企画が生まれたのだそうです。

ちなみに美術館の場面で女性器の講義をしているのは、原作者の四方田犬彦さんご本人です。

アンリ・マッケローニ氏は生涯女性器を撮り続け、2016年に亡くなってしまったそうです。映画のオープニングではマッケローニ氏へのリスペクトの言葉が捧げられています。

有名な絵画がチラホラ…?

映画の中には、絵画好きの人が見ると「あ、これはアレだ!」というショットが多数出てきます。
なので絵画好きな人は、もう1つ違った楽しみ方ができると思います。

その中で気になったものをいくつかピックアップしてみましょう。

マルセル・デュシャンの諸作品

スティルライフオブメモリーズ
引用:http://stilllife-movie.com/

19世紀から20世紀にかけフランスで活躍した芸術家・マルセル・デュシャンに『遺作』と呼ばれる作品があります。世間からとっくに引退したと思われていたデュシャンが自分の死後に発表されるよう周到に仕組んでいだその作品は、古い木の扉に開いた節穴を覗くと性器を顕わにした少女の肢体(死体に見えなくもない)が見えるという、なんだかゾッとするような内容です。

わたしたちが女性器に対して感じる畏怖、憧憬、あるいは後ろめたさなどの複雑な感情が凝縮されたようなこの作品は、原作の『映像要理』でも触れられています。作中の『遺作』を思わせる場面にぜひ注目です。他にも『大ガラス』や『階段を降りる裸体』など、デュシャンの諸作品を思わせるショットが点在しますので、それぞれの意味に思いを馳せるのも面白いと思います。

「スキャンダラスアートの先駆者」エゴン・シーレも?

春馬が怜を撮影しているのをよそに、見学に来た夏生が退屈そうにあくびをするショットがあります。絵画が好きな人は「あ、エゴン・シーレだ」と直感するショットです。

オーストリア出身のエゴン・シーレという画家は作品に少女の性器をハッキリと描き込み、裁判になって有罪判決を受けるなど「アート=女性器=スキャンダル」の先駆者のような人です。

個人的には、そんな「エゴンシーレな格好」をしている夏生が「蚊帳の外」状態になっているこのショットには、作品で本当に描きたいものと、女性器を扱うことでスキャンダラスになってしまうことの温度差が表れているような気がします。それが意図的なのか、偶然なのかはわかりませんが。

キャスト・監督にも注目して見て欲しい

『スティルライフオブメモリーズ』は、キャストもまた素晴らしく、注目したい点の1つです。
映画には監督自身も出演されているので、これから見る人はどこに出演されているのかチェックしながら見るのも面白いと思います。

安藤政信さん 40を過ぎても美しすぎる!

スティルライフオブメモリーズ

主人公の春馬を演じるのは安藤政信さん。北野武監督の『キッズ・リターン』でデビューして以来、『バトルロワイヤル』『サトラレ』などの日本映画、『コード・ブルー』シリーズなどのテレビドラマなどでバリバリ活躍されている俳優さんです。

1975年生まれの安藤さんはすでに40歳を過ぎていますが、まるでギリシャ彫刻のような美貌は健在で、本作では美しい裸体も披露しています。

矢崎監督とのタッグは『ストロベリーショートケイクス』に続く2作目で、現在は写真家としても活躍しておられる安藤さんは作中でのカメラの扱いも完璧!! まさに本作にピッタリのキャスティングだったと言えます。

過激ヌードのヒロインは小池徹平さんの新婚奥さま!!

スティルライフオブメモリーズ主演女優の永夏子さん(小池徹平の新婚妻)
引用:http://cinema.u-cs.jp/interview/stilllife-haru/

オーディションでヒロインの怜役を勝ち取ったのは舞台を中心に映画・テレビドラマでも活躍中の女優・永(はる)夏子さん。

1983年生まれの永さんは慶応大学出身の才女。もともと矢崎監督作品の大ファンだったそうで、「自分の性器を撮らせる」という役柄上、必然となってくる「フルヌードになれる人」という条件にも、「こうした仕事をやっていく以上はいつかは来ることだと覚悟してしましたし、それがこの作品なら本望」だと決意したのだそうです(『秘めごとから覗く世界 (トーキングヘッズ叢書 No.75)』インタビューより)。

作中では影のある、知的な大人の女性を演じておられますが、インスタなどで見せる素顔は、作中の印象よりも明るくて、可愛らしいという印象を受けます。映画公開後の2018年11月には俳優・歌手の小池徹平さんとご結婚されています。人もうらやむ美男美女カップルですね〜。

体当たりヌードでアイドル女優から脱皮??

スティルライフオブメモリーズで夏生役を演じた松田リマさん
引用:http://cinema.u-cs.jp/interview/stilllife-matsuda/

春馬の恋人・夏生を演じるのは松田リマさん。1994年生まれの松田さんは映画やテレビドラマ、CM出演で活躍中ですが、キラキラした透明感があり、アイドル的な可愛らしさを持つ若手女優さんですので、フルヌードの濡れ場や出産シーンまである本作に出演されるのは、ファンの方からするとけっこうショッキングだったのではないでしょうか。所属事務所が変ったタイミングで新しいことに挑戦したかったという松田さん、文字通りの「体当たり」で本作に挑み、夏生という繊細な役を見事演じきっていました。

ストリッパー役は誰? 本職のストリッパーさん?? 

メインキャラクターではありませんが、春馬がストリップを鑑賞する場面でストリップを披露しておられたのは有馬美里さん。2017年の末ごろまで現役でストリップの踊り子として活躍されていたようなので、おそらく撮影時には現役の踊り子さんだったんでしょうね。あのパフォーマンスのリアル感にも納得がいきます!

監督について

『スティルライフオブメモリーズ』のメガホンをとったのは矢崎仁司監督。外国の映画祭で賞も受賞した『三月のライオン』(1992年公開)で一躍有名になり(余談:羽海野チカさんの将棋マンガ『3月のライオン』のタイトルは、この作品からヒントを得たものだそうです)、『ストロベリーショートケークス』『スイートリトルライズ』(※あ、単語と単語の間に「・」が付いてない!)『無伴奏』など、美しい映像が醸し出す独自の空気感に定評のある監督です。

本作の共同脚本も担当しておられるプロデューサーの伊藤彰彦さんいわく、矢崎監督作品の「セックスが描かれながらもそこに死の匂いが常にまとわりついている」感じを求めて、矢崎監督にオファーしたとのことです(雑誌「キネマ旬報」インタビューより)。

『スティルライフオブメモリーズ』の結末とは?(ネタバレ注意)

『スティルライフオブメモリーズ』の結末
※本項は作品のネタバレを含みますのでご注意ください !

謎めいた怜の正体を探るべく、ある日春馬はこっそり怜の後をつける。怜は山梨の美術館で働くキュレーターだった。プライベートを探られて怒った怜は春馬の元を去ろうとするが、春馬はすがるように呼び止める。

「君ならわかるだろ! あの描きかけの絵なんだ!」

二人が主な撮影場所にしているのは画家である怜の母親のアトリエで、そこに口だけが描き残されている自画像風の肖像画があった。作品を完成させられないまま死を迎えようとしている母の無念と、怜の性器写真を「作品」として完成させたいと願う春馬の思いとを重ねたのか、怜は足を止める。

この出来事以降、性器写真の撮影は怜と春馬の「共同作業」の様相を帯びてくる。

ある日、春馬と怜の撮影現場に同行した夏生。疎外感を感じながらも、怜の春馬の作品に対する純粋な思いを知る。

怜と春馬の「共同作業」が終わりに近づいた頃、夏生は女の子を出産。入れ替わるようにして、怜の母が死を迎える。怜は、喪服姿のまま庭で母の描きかけの自画像を燃やす。

そんなある日の撮影中、母を失った怜が醸し出す雰囲気に何か感じるものがあったのか、春馬が突然怜を押し倒し、性行為に及ぼうとする。しかし怜は必死で抵抗し、春馬をまっすぐ見据えて、カメラを渡し、裸の股を開く。春馬は肩で息をしながら、無言でシャッターを切る。

やがて「最後のシャッターの音」とともに、怜と春馬の「共同作業」は終わりを迎える。

作品を完成させ憑き物が落ちたような穏やかな顔つきになった春馬が、助手席に夏生を、後部座席のチャイルドシートに娘を乗せてドライブしている。かつて怜を尾行した時にはBMWのオープンカーに乗っていた春馬だが、今はファミリーカーの代名詞・トヨタのシエンタである。

赤ん坊が泣き出し、車を止める春馬。おむつを替えようとすると、脚をカエルのように開いた娘が放尿し、春馬の顔にかかってしまう。 ほのぼのすぎる光景。そこには怜の女性器に執着していた時の面影はない。

再び走り出した車はトンネルに突入する。か細い光に照らされた暗い穴の中を車はひたすら進んでゆき、やがて闇に溶けてゆく。

キャスト

『スティルライフオブメモリーズ』のキャスト・監督
引用:http://www.nbpress.online/archives/11636

鈴木春馬 ………安藤政信
怜 ………………永夏子
夏生 ……………松田リマ
怜の母 …………伊藤清美
瑤子 ……………ヴィヴィアン佐藤
踊り子 …………有馬美里
看護婦 …………和田光沙
モデル① ………清川葵
モデル② ………瑞乃サリー
モデル③ ………大塚玲央奈
比較文学者 ……四方田犬彦

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