『宮廷女官チャングムの誓い(韓国名:大長今)』が初めて日本で放送されたのは、2004年のこと。初放送から約15年経っていますが、未だに年に何度も再放送されるほどとても根強い人気のある韓流ドラマです。
そんなウワサは知りつつも、まだ『チャングムの誓い』を見たことがないあなた!
そんなあなたのために、チャングムの誓いの大ファンである私が、全54話の見どころを一挙にご紹介したいと思います。
チャングムの誓いとは?(あらすじ)
元々は宮廷の料理人(女官)だった主人公「チャングム」が、数々の困難を乗り越えながら国王の主治医として活躍するまでのサクセスストーリーです。
「悲しんではだめ、泣いてもだめ、簡単に諦めてもいけない」という母の教えを胸に抱き、両親の仇であるチェ一族の陰謀に負けることなく立ち向かう勇敢で聡明な女性チャングムに、見る人はみんな心を奪われ応援したくなります。
韓国名ともなっている『大長今』とは、李氏朝鮮の11代目国王、中宗王からもらった「偉大なるチャングム」を意味する称号のこと。医者が異性の診察をすることさえ難しかった時代ですが、大長今という称号を持つ国王の主治医(女医)がいたことは史実として残っています。そんな歴史上の人物をモデルにしたフィクションドラマです。
印象に残る名シーン・見どころを紹介!
チャングムの誓いは全54話。名シーン・名セリフは数多くありますが、その中でも特に印象が残ったもの・見逃したら損する場面をご紹介します。
①たった1杯の水にさえ、相手を気遣う思いをこめる
「私に水をもってきなさい」
第4話。料理の師匠であるハン尚官(サングン)は、幼い(7~8歳)のチャングムに『ある事』を教えるためにこう言いました。
けれど女官見習いになったばかりのチャングムは、なかなかハン尚官が望む水を持ってくることができません。水に葉っぱを浮かべたり器を変えてみたり‥試行錯誤しながらなんども水を運びますが、ハン尚官には否定されるばかり。
ついには「ハン尚官様は、私のことが嫌いなのかな」なんて落ち込んだりもします。けれどそこはチャングムの持ち前の負けん気と聡明さで、なんとか正しい答えを導き出すことができます。
「たった1杯の水でも、今の体調を聞いてから運ぶ。」
これが今回の課題の答えでした。同じ水でも、温かい水、冷たい水、砂糖を入れた水、ショウガを入れた水‥それぞれ人に与える影響が違う。
器に盛った時から、その1杯の水は料理と同じ。料理は、相手を気遣う心が大切であるということをチャングムに教えたかったのです。
そしてチャングムが大人になってからも、ハン尚官はこの姿勢を貫きます。
18~19話。
明の使臣へのおもてなしを任じられたハン尚官は、贅沢づくしの豪勢な食事ではなく野菜中心の質素な料理を出します。それは明の使臣が糖尿病を患っており、贅沢な食事は病状を悪化させることが分かっていたためです。
とうぜん、明の使臣は怒り心頭。ハン尚官は罰せられ、代わりにチャングムが明の使臣へ料理をもてなすことになりました。
もちろんチャングムはハン尚官の教えを守ります。そして最後には、明の使臣に「お前の志は大陸よりも大きい」と言わしめるのです。
「どんな場合でも、食べる人の害になる料理はいけない。」というハン尚官。厳しくも、それ以上の豊かな愛情でチャングムを育てていきます。
このハン尚官という存在がなければ、この先で活躍するチャングムはいなかったかも知れません。
ハン尚官役のヤン・ミギョンさんが大人気!
実はこのハン尚官に関する逸話があります。それは、ハン尚官を演じたヤン・ミギョンさんの人気が高く反響が大きかったために、最初の予定よりも出演回数が増えてしまったということです。
本当ならば50話で終わるはずだった「チャングムの誓い」が54話になってしまったのは、このハン尚官役のヤン・ミギョンさんの影響だそうですよ!
ちなみにヤン・ミギョンさんは、他にも数多くのドラマに出演されています。
私が見たものでいうと、「太陽を抱く月」「メイ・クイーン」「仮面」「私はチャンボリ!」「輝け、ウンス!」など・・今でも素敵に活躍されています!
②女同士の熾烈な争いの終焉が、さらに厳しい戦いを招く
13話~23話の長期にわたり繰り広げられたのが、仇であるチェ尚官と育ての親ハン尚官による水刺間(スラッカン)の最高尚官(チェゴサングン)の座をかけた争いです。
水刺間の最高尚官とは?
水刺間とは、王族の食事を作る部署のこと。そして最高尚官とは部署の責任者のこと。つまり、王様の料理を司る総料理長のようなものです。
全54話のうち10話がこの争いに関連する話だったのですから、どれだけ重要な流れかが分かりますよね。
特に20話からの最後の競い合いは、今後を左右する重要なストーリー。王様と皇后様の誕生祝いの御膳を各人が5品ずつを出し、1品ずつどちらの料理が勝っているかを審査していきます。
しかも、ある事情から、ハン尚官の代わりにすべての料理を作ることになったチャングム。相手のチェ尚官とは、立場で例えるなら平社員と部長のような関係。本来なら、その力量は天と地ほどもあるはずなのですが・・・。
1品ずつ1品ずつ、料理が出て、王様と皇后が食べて、批評して、優劣をつけて・・
という戦いは、見ているこちらもずっと緊張が続きます。緊張しすぎて「いっそ早送りしてしまおうか」と思うほどです。
果たして、最後の競い合いはどちらが勝ったのか。またその勝負をきめた料理はどんなものだったのか。そして最終的に水刺間の最高尚官の座に収まったのは誰なのか。
チャングムの誓いをこれからご覧になる方は、この戦いだけはきっと見逃さないでください。
今思えば、水刺間の最高尚官をかけた戦いの終焉こそが、チャングムとチェ一族との長くてツラい戦いの、本当の始まりとも言える気がします。
女性たちの熱い戦いの影にひそむ黒い陰謀
水刺間の最高尚官が名誉ある地位であることは間違えありませんが、実はその価値はそれだけではありません。
水刺間は数多くの贅沢な食材を取り扱うため、大きな金額が動く部署でもありました。
つまり水刺間の最高尚官はそんな大きな金額を動かせる立場であり、仕入れを独占させることでその対価として賄賂を受け取ったり、食材を横流しして得たお金を着服したりと、私財を蓄えるにも最適な地位であったというわけです。
チャングムと敵対するチェ一族は、チェ尚官の兄チェ・パンスル率いるパンスル商会が古くから独占的に宮廷に物資を納め大きな利益を得ていました。
チェ尚官が水刺間の最高尚官を務めれば、宮廷への食材の納品を独占することができ、より大きな利益を得ることが出来ます。
チェ尚官は一族のために水刺間の最高尚官を目指し、またハン尚官はそれを阻止する目的で戦いに挑んだのでした。
③自らの命をかけても、『志』と『愛する女性』を守ろうとする想い
「チャングムの誓い」の見どころは、チェ一族との戦いだけではありません。武官としても文官としても活躍した、ちょっとあり得ないほどデキる男チョンホ様とのラブストーリーも、欠かせない要素です。
チャングムが危ないときは必ずと言っていいほど、チョンホ様がスーパーマンのように現れて窮地から救い出してくれます。そんなチョンホ様ですが、もちろん万能ではありません。
立場的にはたかが役人の1人ですから、大臣や王様に勝てるわけはありません。でも、相手が誰であっても自分の愛と信念に基づいて行動ができる、とても強い精神力と優しさを持ったメチャかっこいい男性です。
「チャングムの誓い」も終盤に差し掛かった49話~。
チョンホ様はチャングムを王様の主治医にするために翻弄します。「身分が職を決めるのではなく、能力が職を決めるべき」という以前から強く心に抱く志と、愛する女性のために命をかけて立ち回ります。
当時は、高い身分の者だけが高い役職に就き、たとえ医師であっても異性の体に触れることは許されない、そんな時代。当然ながら、王宮内は騒然となります。女性を王様の主治医にするなんて、許されるはずもない突拍子もないことだったからです。
チョンホ様は今まで味方だった大臣にも見放され、王様以外のすべての人が猛反対される中、それでも諦めずに挑みます。
そしてついにチャングムは、王様の主治医を務めることになるのですが・・
チャングムが主治医になる代わりに、チョンホ様はどうなってしまったのか。またチャングムとチョンホ様の間に現れた、意外な恋のライバルとは誰なのか。
この辺りに注目してご覧いただければ、「チャングムの誓い」をきっと何倍も楽しめると思いますよ!
女性を主治医に抜擢した、中宗(チュンジョン)王ってどんな人?
中宗王は、韓国史では暴君として有名な燕山君(ヨンサングン)※第10代王 の腹違いの弟です。
中宗の兄である燕山君の母親は父親である当時の王様に死刑にされてしまうのですが、王位に就いた後にそのことを知った燕山君は母親の処刑に携わった人々を次々と虐殺していきます。チャングムが幼くして両親を失ってしまったのも、実はチャングムの父親が処刑に携わったことがきっかけでした。
そんな暴君っぷりが原因でクーデターが起き、燕山君が追放された後に王の座についたのが中宗です。
「チャングムの誓い」でも、中宗が少しだけ自分の人生について語るシーンがありましたが、中宗が唯一愛したという1人目の王妃(端敬王后)は政治的な理由から、中宗が王位に就いた7日後に王妃の身分を剥奪されてしまいました。
愛し合う2人が、王と王妃という高い身分にありながら、なぜ共にいることができなかったのか。この中宗と端敬王后の切ないラブストーリーは、2018年3月に日本で初放送された「7日の王妃」でも描かれています。
そして、「チャングムの誓い」に出てくる文定(ムンジョン)王后は3人目の王妃です。「チャングムの誓い」ではとても常識的な見識の高い王妃として登場していますが、自分の息子を王にしようと、先妃の息子(皇太子)の殺害を企てるなど、少々恐ろしい面も持った女性です。
兄は暴君として追放され、1人目の妻も続いて追放。2人目の妻には先立たれ、その息子は3人目の妻に命を狙われる・・となかなかヘビーな人生ですよね。
ちなみに中宗王は、他の韓流ドラマでもたびたび出場します。私が見たドラマの中でも、これだけあります↓
「ファン・ジニ」「天命」「師任堂 色の日記」「7日の王妃」
それぞれ違った中宗が描かれているので、見比べてみると面白いと思いますよ!
主な登場人物を知っておこう!
- 主人公:チャングム(イ・ヨンエ)
- 恋仲の役人:チョンホ様(チ・ジニ)
- 恋・料理のライバル:クミョン(ホン・リナ)
- 料理の師匠(育ての親):ハン尚官(ヤン・ミギョン)
- 両親の仇:チェ尚官(キョン・ミリ)
- チェ尚官の兄:チェ・パンスル(イ・ヒド)
- 王様:中宗王(イム・ホ)
- チャングムの親友:ヨンセン(パク・ウネ)