6月14日に、Amazonのライブストリーミングサービス「Amazonプライムビデオチャンネル」が登場しました。
近年、AbemaTVを筆頭にHuluのリアルタイムや、dTVチャンネルなど、さまざまなライブストリーミングサービスが日本で登場しつつありますが、ついにAmazonも日本市場に参入した形になります。
いままでのプライムビデオと異なり、チャンネルごとに有料で契約する必要がありますが、他社にはない機能があり差別化が図られています。
新しく始まったAmazonプライムビデオチャンネルが、どのようなサービスなのか気になっている方のために、特徴やデータ、デメリットや注意点、苦手分野などをまとめています。
Amazonプライムビデオチャンネルの概要
dTVチャンネル | 詳細 |
登録URL | http://www.amazon.co.jp/ |
運営会社 | Amazon.com |
歴史 | 2013年11月 Amazonビデオの配信を日本で開始 2015年9月 Amazonプライム会員向けに動画見放題サービスを開始 2018年6月14日 日本でプライムビデオチャンネルのサービスを開始 |
サービス開始 | 2018年6月 |
チャンネル数 | 20チャンネル |
チャンネル一覧 | 映画&TV番組 ・時代劇専門チャンネルNET(540円) ・極道戦線(540円) ・アジアドラマチャンネル(864円)スポーツ ・J SPORTS(2,138円) ・yoga esse ヨガエス(540円) ・セントラルスポーツ・フィットネスチャンネル(432円)ニュース&ドキュメンタリー ・日経CNBCプラス(972円) ・BBCワールドニュース(778円) ・HISTORY(324円) ・ナショジオ ワイルド(771円)ホビー&カルチャー ・囲碁プラスα(864円) ・将棋プラスα(864円) ・釣りビジョンセレクト(540円) ミュージック その他のジャンル |
会員数 | 非公開 ※インプレス総合研究所の概算では500万人規模と推測されている Amazonアカウントは3億超発行されている |
対応デバイス | ・PC(Windows、Mac) ・スマートフォン、タブレット(iOS、Android) ・スマートテレビ ・STB(Amazon Fire TV、Fire TV Stick 他) ・ゲーム機(PlayStation3・4・Vita、Wii U) |
画質 | SD/HD |
データ通信量 | 不明 |
VR | 非対応 |
サービス価格 | 年額4,900円(税込)+各チャンネルの月会費 月額500円(税込)+各チャンネルの月会費 ※年額、月額どちらかをセレクト。年額だと1,100円お得。 チャンネル毎に契約をする必要があり、料金も異なる。 |
トライアル | 30日間のプライム会員無料体験あり 各チャンネルは14日間の無料体験ができる |
マルチアカウント | 非対応(同時視聴は可能) |
ダウンロード | 一部オンデマンドは対応 |
課金手段 | ・クレジットカード ・Amazonギフト券 |
サポート | 年中無休 |
2018年6月14日現在 V-PEDIA調べ
Amazonプライムビデオチャンネルの特徴・強み
オンデマンド配信にも対応
ライブストリーミングではありますが、一部チャンネルはオンデマンド配信、いわゆる見逃し配信にも対応しています。
現在、ライブストリーミングサービスでオンデマンド配信を行っているのは、ほとんどのチャンネルを自社で運営しているAbemaTVぐらいですが、Amazonに関しては人気CSチャンネルがベースのチャンネルが多く揃っているため、大手チャンネルのオンデマンド配信を行うのはAmazonが初めてです。
また、オンデマンド配信は、過去に配信を行った番組だけではなく、各チャンネルの契約者だけが視聴できる動画も視聴することができます。
Amazonプライムビデオでは視聴できない各チャンネルのさまざまな限定番組が、月会費内で楽しめます。
対応端末が幅広い
Amazonプライムビデオチャンネルは、プライムビデオに対応したデバイスであれば視聴できるようになっているため、Fire TVをはじめ、スマートフォン、PC、PS4、Wii Uなど、さまざまなデバイスで利用できます。
ライブ配信はもちろんのこと、オンデマンド配信にも対応しており、一部コンテンツはダウンロードにも対応しているのでオフラインでも楽しむことができます。
Huluのように一部端末では観られない、dTVチャンネルのようにdTVとは別アプリだから視聴できない、という残念なことは起こりません。
Amazonプライムビデオチャンネルの残念なところ
Amazonプライム会員資格とチャンネルごとに契約が必要
Amazonプライムビデオチャンネルは、各チャンネルごとに月単位の契約が必要なだけではなく、Amazonプライムの会員資格も必要です。
Amazonプライムビデオの場合は、Amazonプライムの会員資格だけで数多くの作品が見放題でしたが、プライムビデオチャンネルではプライム会員資格だけではチャンネルを視聴することができません。
有料チャンネルにも関わらず、なぜプライム会員資格も必要になるのか不思議ですが、現時点ではこのような仕様になっています。
チャンネルがまだそれほど多くない
サービスが始まったばかりということもあり、配信チャンネルはあまり多くありません。先発であるdTVチャンネルは、内容が微妙だという声も挙がっていますが、約30チャンネルを定額料金内で視聴することができます。
アメリカのプライムビデオチャンネルでは、HBOなどの大型チャンネルなども配信しており、わりと充実したラインナップではありますが、日本版はまだアメリカ版に及びません。
中には、dTVチャンネルやHuluでも配信されているチャンネルと被っているものがいくつもあるため、観たいチャンネルが複数あるなど、人によっては他社のサービスの方がお得になるケースも考えられます。
特に、dTVチャンネルのラインナップと被っているチャンネルが多く、オンデマンド視聴ができるという点で差別化を図っているようですが、やはり月会費のコストパフォーマンスを考えるとdTVチャンネルのほうが優れていると言わざるを得ません。
今後、チャンネル数は増えていくとのことなので、今後に期待です。
料金設定が高め、パック料金設定もない
dTVチャンネルやHuluのように、サービスに契約することでどのチャンネルも見放題になるというシステムではなく、自身で視聴したいチャンネルを契約する形になっていますが、現時点ではケーブルテレビやCS放送のようなパックセットは用意されておらず、単体契約しか受け付けていません。
チャンネルの料金設定は200円台からで、比較的安めに設定されてはいますが、複数のチャンネルを契約しようとするとどうしても割高になってしまい、観たいチャンネルによっては他のサービスを契約するか、ケーブルテレビを契約したほうがお得になってしまいます。
たとえば、BBCワールドニュースは、Amazonプライムビデオチャンネルでは、プライム会員に加入した上で月額778円で視聴できますが、Huluの場合は、定額料金内(月額993円)で視聴することができます。
プライムの会費分も含めると、Huluの方が安く視聴できることになりますし、Huluにはオンデマンド配信がないとはいえ、コストパフォーマンスはHuluの方が上です。
まだチャンネル数が多くないという理由もあってパック料金システムが採用されていないのだと思いますが、今後複数のチャンネルを契約したい人にとってお得な料金設定が登場することを期待します。
まとめ:他社よりも魅力的ではあるが料金設定に難あり
- 利用するにはプライム会員資格が必要
- 見放題チャンネルはなく、それぞれ有料登録が必要
- 見逃し配信だけではなく契約者限定の番組も視聴できる
- 多くのデバイスで視聴ができる
- チャンネル数はまだ多くないが、今後増える予定
- パック料金がないため、複数チャンネル登録すると割高
ライブ配信だけではなく、見逃し配信や契約者限定のコンテンツも視聴できる点は、唯一オンデマンド配信を行っていたAbemaTVよりも優れたポイントであると言えます。
すべての番組がオンデマンド配信されているわけではありませんが、契約者限定のコンテンツも用意されているのは良心的であると言えます。また、多くのデバイスで利用することができ、同時視聴にも対応している点など、利便性に関しても一歩リードしています。
一方で、料金設定やチャンネルのラインナップに関してはまだ課題が残ります。
先発のdTVチャンネルやHuluのリアルタイムと重複しているチャンネルがいくつかあり、観たいチャンネルによってはAmazonプライムビデオチャンネルの方が割高になってしまう場合もあります。オンデマンドという優位性を考えても、料金面を考えると他社の方に軍配が上がります。
しかし、チャンネル数は今後増やしていく予定であるようなので、チャンネルが増えると同時に、衛星放送やケーブルテレビのようなパック料金が設定されることを期待します。
すでにアメリカなどでサービスインしていたとはいえ、始まったばかりにしては完成度は高いサービスであると感じています。コンテンツや料金面ではやや不満がありますが、今後にかなり期待できるライブストリーミングサービスであると言えます。