「ファンタスティック・ビースト2」がファンを魅了してしまう5つの理由

ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生のニュート・スキャマンダーとアルバス・ダンブルドア
引用:https://theriver.jp/fb2-dark-reason/

ハリポタファンのみならず、新たに観た人たちまでをも悶絶させると話題の「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」。

ファンタビ第1作目の「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」に続く第2作目です。

「ハリー・ポッター」シリーズの64年ほど前の時代が舞台となる今作ですが、ストーリーのあまりの重厚さに鑑賞後、「もう一度観たい!」と興奮した人もいるのではないでしょうか。

ハリポタ時代のアイテムや登場人物はもちろん、新たなキャラクターの登場やおなじみのキャラクターの知られざる過去も明かされた今作。魅了されてしまう理由を5つに絞って、解説していきたいと思います(ネタバレを含みます。ご注意ください)。

「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」とは?(あらすじ)

魔法生物を研究するため、世界中を旅しているニュート・スキャマンダー。ホグワーツ時代の恩師ダンブルドアと再開し、悪の魔法使いグリンデンバルドを追うよう仕向けられます。

ダンブルドアとグリンデンバルドは、かつて「死の秘宝」を探す旅に出かけた相棒でしたが、ダンブルドアの妹の死をきっかけに、仲違い。ダンブルドアはホグワーツの教師に、グリンデンバルドは悪の道に進みます。

前作で死んだと思われていたクリーデンスや、ニュートの元恋人?であるリタ・レストレンジ、「賢者の石」でおなじみのニコラス・フラメルも登場。ノーマジのジェイコブ、魔法使いのティナやクイニーも巻きこみ、魔法動物の助けも借りながら、魔法界と人間界の平和を守るため、ニュートたちは奮闘するのです。

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理由①ハリポタ世代が大人になってからも楽しめるストーリー

ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生のニュート・スキャマンダーとジェイコブ・コワルスキー
引用:https://theriver.jp/fb-5-films/

ハリポタの世界は生徒が主人公でしたので、学校の授業で使う魔法が主でした。しかし、今作の主人公は大人たち。学校の授業ではない、実生活のなかで使う魔法を見ることができます。

呪文を唱えることなく魔法をかける無言呪文や、姿くらましを頻繁に使用し、その高度な魔法の数々に感服します。学校の外での冒険は楽しいことばかりではありません。危険も伴います。

そんな登場人物たちの活躍に、観客自身も登場人物たちと自分を重ね合わせるのです。というのも、「ハリー・ポッター」に夢中になった発売当時の子どもたちは、いまは20代〜30代。私筆者もそうですが、ハリーとともに成長した世代なんです。

子供のころ、ホグワーツからの手紙を待ちわび、「アバダ・ケダブラ」の呪文をこっそり嫌いな先生に発射。ハリー役のダニエル・ラドクリフにファンレターを送ったなんて経験もあります。ハリポタの原作本が出版されるのが、1、2年に1冊ペースでしたので、私たちの世代はハリーとともに学年を上がっていきました。

そして、あれから数年の月日が流れファンタビが公開されます。大人になった私たちが、同じく大人として社会に出て働くニュートに自分を重ねるのです。

魔法生物について研究するニュートは、動物とふれあうのは得意ですが、人間とのコミュニケーション能力はイマイチ。ノーマジ(非魔法使い)のジェイコブや魔法省で働くティナ、ティナの妹のクイニーも社会に出て生活をしていますが、それぞれに悩みや葛藤を抱えています。

そんな中、ニュートはホグワーツ時代の恩師であるダンブルドアと再開します。私たちも結婚式やお葬式、同窓会や何かのイベントがあってかつての恩師と出会う機会もありますよね。

ニュートの場合は、その恩師にやっかいな面倒ごとを頼まれるのです。そして、学校の外で新たな冒険が幕を開けます。

理由②若き日のダンブルドアとグリンデンバルドの確執

ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生のダンブルドアとグリンデンバルド
引用:https://candylab.site/

今作の見どころと言っていい、ジュード・ロウ演じる若き日のダンブルドアと、ジョニー・デップ演じるグリンデンバルドの対決。ハリポタシリーズで、グリンデンバルドはほぼ名前のみの登場でしたので、ファンは彼の詳細を気にしていました。この2人、ファンタビでは思いっきり活躍してくれます。

上品だけれど、茶目っ気さと秘めた強さを本当によく表してくれるジュード・ロウと、ファンタビ最大の悪であるグリンデンバルドの悪役っぽさを見事に演じてくれたジョニー・デップ。この2人の俳優に盛大な拍手を送りたいです。

今作の主役はこの2人ではないでしょうか?そう思いたくなるほど、彼らのストーリーは濃厚で、「早く真実を知りたい!」と焦らされてしまうのです。

「ダンブルドアはゲイで、グリンデンバルドに恋をしていた」と原作者J.K.ローリングは語っています。お互いに戦わないという“血の契約”をかつて交わした2人。なので、ダンブルドアはニュートを導いて、グリンデンバルドの思惑を阻止しようとします。

見る者の心の奥に秘めた願望を映す“みぞの鏡”に、ダンブルドアはグリンデンバルドを映していました。若き日に「魔法使いがノーマジを支配する世界」を夢見ていた2人でしたが、ダンブルドアが改心したことにより、2人は決別。しかし、まだお互いを想い合っているのが感じられます。

その証拠に、グリンデンバルドはオブスキュラスを宿すクリーデンスを利用して、ダンブルドアを殺そうと目論んでいるのです。しかも、クリーデンスはダンブルドアの弟アウレリウス・ダンブルドアと言い張る始末!これはもう、離れていった恋人に対する当てつけのように見えてしまいますよね。

ハリポタシリーズでは、聡明でなんでもわかっている校長先生という立場のダンブルドア。しかし、今作ではまだまだ青臭さが残る彼の姿が見られるのです。

ジュード・ロウ演じるダンブルドアが、やけにセクシーなのも頷けます。キャストが発表されたとき「えっ?ダンブルドアのイメージじゃないんだけどな」と正直思いましたが、ファンタビが彼とグリンデンバルドの恋の話だと思うと、この配役に納得できるのです。

理由③クリーデンスの出生の秘密に驚かされる!

ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生のナギニとクリーデンス
引用:https://www.club-typhoon.com/

ファンタビ2では、ハリポタシリーズやファンタビ1よりも、魔法やアクションシーンが少なめで、正直がっかりなんて人もいるみたいです。登場人物たちの説明をするシーンが多く、彼らの会話もイマイチよくわからない。やけにクリーデンスの出生にこだわるけど、彼そんなに重要な人物じゃなくないですか?

もっと、主人公ニュートの活躍を見せてほしいし、マスコット的存在のジェイコブをもっと出してほしい!魔法生物も、もっと見せてほしい!

しかし、ラストでクリーデンスがダンブルドアの弟だと告げられると、今までのストーリーに納得ができるのです。ここで、ハリポタを大して知らない人は「だから何?」となるのですが、ファンは「はっ!?」と天地がひっくり返ったほどの衝撃を受けます。

ダンブルドアには亡くなった妹と、アバーフォースという弟(「死の秘宝」に登場)がいるのですが、アウレリウス・ダンブルドアという人物は存在しないはず。しかも、ダンブルドアの両親は若くして亡くなっているので、弟が新たに生まれているはずもないのです。

ここで、ファンの間ではさまざまな憶測が飛び交っています。「魔法使いだからどうにかして両親が生んだ子では?」説や「亡くなった妹アリアナ(享年14歳)の子どもでは?」説。

私は「グリンデンバルドの嘘」説が有能では?と思います。なぜなら、これは「グリンデンバルドのダンブルドアに対する当てつけ」だから。自分のかつての恋人(もしくは友人以上に仲が良かった人物)が、自身の“弟”に殺されるなんていい気味じゃないですか?

ダンブルドア一族に関係のある不死鳥が登場していますが、あれもグリンデンバルドの魔法でごまかしているのでは?と勘ぐってしまいます。何はともあれ、真相が気になりすぎて、続編が待ち遠しいです。

理由④ハリポタよりもさらに現代を表している社会派ストーリー

ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生のグリンデンバルド
引用:https://moviemovie.online/fantastic-beast-2-2/

ハリポタシリーズの原作者であるJ.K.ローリングは、Twitterや講演を通して、フェミニストやリベラリストとして知られています。

「ルーモス」というNGO団体を立ち上げ、世界中の孤児を救おうと活動をしていたり、人種差別や女性差別など、“先進的”でない事柄について批判をしたりして、著名人として自身の意見を発信しているのは有名な話。

ファンのなかには、彼女の活動や発言に共感した人も多いのではないでしょうか。そういった精神はファンタビ2にも色濃く出ており、ただのファンタジーでは終わらせない、作者の意図が見えるのです。

特に顕著に表れているのは、やはりさきほどにも紹介したグリンデンバルドの演説でしょう。彼の言っていることは一見、正しくも思えます。魔法使いはノーマジからの攻撃を恐れて、自分たちの優れた能力を隠しながら生きている。このままだとノーマジは第二次世界大戦を起こし、世界を酷い状況に陥れてしまう。

愛する仲間たちを守りたい魔法使いは、次々とこのグリンデンバルドの演説に魅了され、仲間に加わることを決めます。初めは彼を嫌っていたクイニーも、結婚を法律で禁止されているノーマジであるジェイコブと結ばれたいため、闇の陣営についてしまうのです。

このクイニー、人の心を読めてしまう読心術の持ち主ですが、うまくコントロールできずに人混みのなかで気分を害してしまうこともあります。こういった描写も、なかなか他人には理解してもらえない病気や状況の人たちを表しているのではないかと憶測できるのではないでしょうか。

孤児であるクリーデンスの、己が何者なのかわからない葛藤や、安心してくつろげる居場所がない状況にも、作者の想いが汲みとれるかのようです。今作では、サーカスで奴隷のごとく働かされていたナギニと活動をともにしています。

やっと理解し合える仲間ができたのかと思ったら、グリンデンバルドに利用される始末。彼は安住の地を得られるのでしょうか。

また、今作では黒人だけでなく、アジア圏の俳優や魔法生物たちも活躍していました。ナギニは韓国人女優のクローディア・キム(スヒョン)が演じていますが、キャスト発表の際、批判も出たそう。

それに対し、J.K.ローリングは「インドネシアの神話に出てくる蛇のような生き物から着想を得ているキャラクターだ」と主張し、アジア系女優の正当性を訴えました。こういうとき、世間体を気にしてキャスト変更をする映画なども多いなか、しっかりと主張する作者の人柄や強さ、作品に対する情熱が見てとれます。

日本の妖怪も登場していて、「河童だ!」と嬉しくなりました。中国の妖怪ズーウーも、巨体な反面、子猫のような一面も見せ、かわいかったですよね。

子ども向けのファンタジーだけじゃない面白さが、作品に存分に詰めこまれているのです。

理由⑤「幻の動物とその生息地」に登場するビーストたちの活躍

ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生のズーウー
引用:https://kazuhand2017.com/

いろいろとここまで難しいことも書いてきましたが、映画のタイトルは「ファンタスティック・ビースト」。今作でももちろん、魅力的な魔法動物たちが登場します。

前作からのキラキラしたものが大好きなニフラーはもちろん、ボウトラックルのピケットも健在です。イタズラ好きなニフラーは、「血の誓い」に使用したアイテムをグリンデンバルドからこっそり盗みだすことに貢献。ピケットは牢の鍵を開けてくれました。

さきほども紹介したズーウーは、1日に千里も走れるなんてすごいですよね。見た目はあまり似ていないですが、ついねこバスを想像してしまいます。ファンタビの原作「幻の動物とその生息地」にも登場する河童も今作で出演し、日本人には嬉しいニュースとなりました。

「不死鳥の騎士団」にも登場したセストラルも冒頭シーンで馬車を引く役目を果たし、「死」を象徴する動物で、「死」を見たことがある者にしか見えないことから、護送車にぴったりなのかなと考えてみたり。

アイルランドの不死鳥であるオーグリーや、水中に生息するケルピーなど。ニュートが水中に潜るとき、「シャツを脱がないんですか?」と聞かれていましたが、個人的に脱いでほしかったです(笑)

サーカスの場面では、蛇に変身できるナギニ(ヴォルデモートの分霊箱のひとつ)も登場し、ハリポタとどう繋がっていくのかとても気になって観てしまいました。逃げ出したベビーニフラーもかわいらしく、ペットにしたいぐらいです。

まとめ:「ファンタスティック・ビースト2」は奥が深い?

とっても、奥深いです!!

数々の伏線、登場人物の関係性、複雑に絡みあう思惑……。1回観ただけでは、物足りない作りとなっています。

特に、「ハリー・ポッター」シリーズにハマっていた世代は、観るべき作品です。ダンブルドアの過去や、ハリポタよりまえの時代の魔法界を知ることができるからです。

ニコラス・フラメルやみぞの鏡、ポートキーやボガード、ホグワーツ魔法魔術学校も登場。姿は見えないけれど、マクゴナガル先生もいて、とても贅沢な映画になっています。

もちろん、過去のアイテムだけではなく、続編につながるようなストーリーとなっていて、そこはハリポタのゴット・マザーJ.K.ローリング。早くも続きが観たくなります。

もし、「ファンタビ2つまんなかった」と思われている方がいたら、「ハリー・ポッター」シリーズをもう一度1からちゃんと観ることをおすすめします。(もし時間の余裕がなくて難しい方はこちらの記事がおすすめ!)

恐らく、ハリポタに詳しくないと、ファンタビ2で何が起こっているのか理解できない内容です。そんな作りこまれた映画だからこそ、ファンを魅了する作品になっています。

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「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」キャスト

  • ニュート・スキャマンダー:エディ・レッドメイン
  • アルバス・ダンブルドア:ジュード・ロウ
  • ゲラート・グリンデンバルド:ジョニー・デップ
  • ティナ・ゴールドスタイン:キャサリン・ウォーターストン
  • ジェイコブ・コワルスキー:ダン・フォグラー
  • クイニー・ゴールドスタイン:アリソン・スドル
  • クリーデンス・ベアボーン:エズラ・ミラー

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