珠玉のラブストーリー!『美女と野獣』の魅力をご紹介!

ディズニー映画「美女と野獣」©Disney Enterprises, Inc. All rights reserved
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ディズニーの名作長編アニメーション映画『美女と野獣』は、18世紀に、フランスの民話を元にして、J・L・ド・ボーモン夫人が書いたとされる「美女と野獣」を原作としています。

王子様や魔女の呪い、美しい娘とのロマンス、といったおとぎ話の世界を描いているにもかかわらず、この映画は単なる子供向けのアニメーションとは一線を画しています。ストーリーはおとぎ話であっても、登場人物の心の動きを、表情やしぐさ、台詞を通じて、実に繊細に表現しているからです。

個人的には“この映画がディズニーアニメの最高峰!”と位置づけている私が、大人が見ても心揺さぶられる珠玉のラブストーリーである『美女と野獣』の魅力をご紹介したいと思います。

1.『美女と野獣』のあらすじ
昔々、美しいお城に住むわがままな王子が魔女の呪いで野獣に変えられてしまいました。それと同時に、美しかった城は暗く不気味に、使用人たちは家具に変えられてしまいました。

魔女にわたされたバラの花が枯れてしまうまでに王子が人を愛することを学び、お返しに愛してもらえたら、呪いはとけて元通りになりますが、花が枯れてしまえば永遠にそのまま。野獣となった王子は城に閉じこもり、長い年月が過ぎます。

そこに迷い込んだのが、この物語の主人公ベルの父親でした。侵入者に怒った野獣は、ベルの父親を城に閉じ込めますが、彼を探しに来たベルが身代わりとなることを条件に、父親を開放します。

長い間、外の誰とも接触せずに暮らしてきた野獣と、突然今までの暮らしから切り離されて、野獣の城にとどまることになったベル。二人は徐々に心を通わせ、初めは離ればなれだった気持ちが、やがて愛へとかわってゆきます。

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2.主な登場人物のここに注目してほしい!

主な登場人物の三人を私なりに分析してみました。

愛する人を守る!ベルの勇気

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町一番の美人と評判のベルは、ちょっと風変わりな娘としても知られていました。いつも本を読んでいて、遠い世界の物語に心を奪われていたからです。発明家の父親と二人暮らしで、この父親もその職業柄、周囲から変わり者とみなされています。

周りからは馬鹿にされることもある父ですが、とらわれた彼の身代わりに野獣の城にとどまる約束をするほど、ベルは父親を愛しているのです。

愛する人が苦しんでいたら、自らが行動して守る、そういう勇気や強さがベルにはあります。ただ美しくて夢見がちなだけの女の子ではないのです。野獣の危機にベルがとる行動にも、同じように愛を感じます。

特別な生まれでも、特別な能力を持つでもない、普通の娘であるベル。しかし、おそらく彼女は愛と勇気を普通の人よりもたくさん内に秘めています。”愛と勇気”だなんて、言葉にすると陳腐に感じてしまいますが、彼女の内に秘められたこのパワーこそが、物語を動かす原動力になっているといえます。

同じ女性として、私はベルの強さにとても憧れます。

「愛を学ぶ者」野獣

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呪いをかけられ、野獣の姿になってしまって長い年月が経ち、彼はだんだん人間らしさから遠ざかってしまっています。ベルの父親やベルと出会った時点では、走り去る様子も人間ではなく、獣に近い感じです。

「愛」という目に見えないものを学ぶなど、ましてやお返しに愛してもらうなど、どうすれば達成できるのかわからずに、絶望と怒りの中で彼は暮していました。彼の暮らす部屋は、怒りにまかせて彼が暴れたためにボロボロ。その中でケースに入ったバラの花だけが美しく輝いているのは何とも悲しい光景です。

ベルと出会ってからも、野獣はうまく自分をコントロールすることができずに、すぐにかっとなってしまいます。ベルにいうことを聞かせようと、怒鳴ったり脅したりして、使用人たちにたしなめられることもしばしばです。

それでも、呪いをかけられる前は、使用人の言うことなど聞くような人物ではなかった彼が、助言を聞いて努力しようと試みます。そして、ベルとの距離が縮まるにしたがって、表情が柔らかく、豊かになっていきます。

この物語はラブストーリーですが、どちらかと言えば、野獣の物語です。彼の内面の変化が、この物語の最も重要な鍵だと思います。彼の表情やしぐさを通して語られる心の変化は、まぎれもなく愛の育まれる過程です。ぜひとも、野獣の表情の変化に注目してください!

初々しい恋をみている側としては、どきどきして、「野獣、頑張れ!」と応援したくなりますし、だんだん彼がかっこよく見えてきます。

「愛を知らない」ナルシスト、ガストン

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ガストンは、町一番のハンサムなイケメンです。狩りの腕は超一流で、たくましく、女性にもモテます。しかし、登場してすぐに、悪役というイメージがついてしまう人物です。

なぜなら彼は、自分のことにしか興味がないナルシストだからです。ベルにアプローチするのも、ベルが町一番の美人だから。もしくは、ガストンの魅力になびかない存在だからだと思われます。

彼の台詞はいつも自己中心的です。

  • 「俺はベルを妻にする。」
  • 「絶対にベルと結婚してみせる。」
  • 「ベルは俺のものだ。」

ベルの気持ちはお構いなしです。

そのため、ベルの大事な本を乱暴に扱い、余計に嫌がられます。彼にとっては、“ベルが”何を好きで何を大事にしているかは、まったく重要ではないのです。それを見抜いているから、ベルはガストンのことを嫌っています。

確かに嫌な奴ですが、反面、大変哀れな人物でもあります。この「愛」の物語の中で、彼は「愛を知らない」人物の象徴として描かれているからです。

単なる悪役としてではなく、ガストンのナルシストぶりに注目してみてください。嫌な奴とうつるか、哀れな奴とうつるか、判断はみなさまそれぞれにお任せします。

個人的には、絶対おつきあいしたくないタイプの男性です。(もっとも、向こうからも願い下げでしょうが…。)

3.この場面にぐっとくる!野獣の愛の形

野獣のベルへの愛は、ベルを喜ばせたい、ベルの望みをかなえてあげたい、という気持ちを彼に芽生えさせます。そして、彼はその気持ちを行動で表します。相手が自分のことを考えてくれていると感じると、女性はぐっときますよね。ベルを想って野獣が行動するシーンを二つ、ご紹介します。

ベルを図書室に案内するシーン

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ベルを喜ばせたいと考えた野獣は、元は執事頭で今は時計になっているコグスワースのアドバイスに従って、城の図書室にベルを案内し、好きなだけ本を読んでもいいとベルに告げます。

コグスワースはちゃんとベルが本を好きなことを知っていて助言しているので、野獣は、ベルの反応が楽しみ、といった風情です。

イライラして恐ろしい顔ばかりしていた野獣が、わくわくした子供のような表情でベルを案内する様子が微笑ましく、彼女を理解して特別なプレゼントを用意してくれたことに対して、ベルが感激する気持ちも女性にはとても共感できるシーンだと思います。

野獣の愛情が感じられて、きゅんとくる名シーン。私は大好きです。

父親の元へベルを帰すシーン

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こちらは、野獣にとっては、苦渋の決断をするシーンです。何気ない会話から始まる短いシーンなのに、みていて本当に切なくなります。

二人の心が通じ合ったと感じた幸せな瞬間の後、ベルは自分が幸せであることを感じたせいか、一人でいる父のことを思い出し、急にふさぎ込みます。ベルの気持ちを知った野獣は、父の元へ帰っていいとベルに告げ、ベルは父の元へと行ってしまいます。

バラの花のタイムリミットは迫っており、野獣と城のみんなにとっては最後のチャンスの夜。この事情をベルは知りません。野獣はあえてベルに事情を知らせず、自らは絶望しながらも、ベルの望みを叶えて城から去らせるのです。

短いやりとりの中で、野獣の胸にどれだけの葛藤が渦巻いたのか、想像しただけで切なさがこみあげてきます。

その前の舞踏会のシーンがとても幸福感に包まれていて感動せずにはいられないので、一層切なく悲しく感じられますが、同時にあふれんばかりの愛も感じて、本当にいいシーンです。私としては、舞踏会のシーンよりも好きな場面です。泣けます。

4.ガストンは野獣の過去の姿

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先程、ガストンのご紹介をした際に、自己中心的なナルシスト、と書きましたが、それはまさしく呪いをかけられる前の野獣の姿と重なります。

見かけを重視して、他人の気持ちを考えず、力があるので自分のやりたいようにやる。野獣が王子であった頃、魔女に呪いをかけられた理由とそっくりです。

「愛を知らない」ガストンと対決する野獣は、過去の自分と闘っていることにもなるのです。

そして、過去の自分を打ち破り、ベルの愛を得て呪いのとけるシーンは感動的です。

5.外見に惑わされないベルと野獣の出会いは運命!

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ベルは野獣の優しさを垣間見てから、彼と対等に話すようになります。そもそも、野獣を怖がっていた時でさえ、彼の言うことをきかず、部屋に閉じこもって嫌なものは嫌だとはっきりと言います。

ガストンに対する態度などから見ても、ベルという娘はあまり見た目を重視していないのです。

野獣が怒鳴れば怖いけれど、会話する分には抵抗がありません。だから野獣のことを知ろうとするし、優しいところを知れば好意をもつのです。

人間は、相手の中身だけを見る、ということがそうたやすくできる生き物ではありません。野獣から笑顔を引き出すことができたのも、野獣が愛を学んだのも、ベルがたぐいまれなる女性だったからだと言えます。二人は運命の出会いをしたのだと思うと、一層ロマンティックに感じませんか?

6.この人たちにもご注目!城の使用人たち

家具に変えられてしまった城の住人達。それぞれとってもユニークです。ちなみに私のお気に入りはチップとワードローブ夫人です。

時計のコグスワースと燭台のルミエール

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二人は使用人たちの代表格です。まとめ役で生真面目なコグスワースと、ユーモアたっぷりで時々主人の言いつけを無視するルミエールは、漫才のコンビみたいで楽しい二人です。野獣とベルの間を取り持つよう奔走する姿は、この物語を明るく盛り上げてくれます。

ポット夫人とワードローブ夫人

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女性使用人の代表格の二人です。コグスワースとルミエールが野獣に男性側のアプローチをアドバイスするのに対して、この二人は女性としてベルの気持ちに共感し、ベルが少しでも城で楽しく過ごせるように、世話を焼きます。

結果として、ベルは野獣に心を開くようになりますが、二人の間を取り持とうとする、というよりはベルに寄り添ってあげる姿勢が、女性の身内や友達のいないベルにとっては心強く頼りになったのでしょう。

寝室で一対一でベルの話を聞いてあげているワードローブ夫人は、私には頼りになるお姉さんのように見えました。

端の欠けたティーカップ、チップ

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ポット夫人にはティーカップの子供たちがたくさんいますが、いつも母親にくっついて、兄弟達とは別に一人で行動しているのがチップです。私の中では、ベルと野獣の次にお気に入りのキャラクターです。

端が少し欠けていて、お茶目で知りたがり。野獣とベルがいい雰囲気になるのを使用人たちが遠巻きに見ていると紛れ込んでいて、「ねえねえどうしたの?」と母親にたずねます。どこにでももぐりこんで、腕白な子供そのものです。

ベルに対しても人懐こく、大事なところで恋の橋渡しに一役買います。かわいいだけじゃありません。侮るなかれ。

実はいっぱいいる!?名もなき使用人たちの奮闘

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前述した五人の他にも、城にはたくさんの使用人たちが家具に変えられたまま生活しています。帽子掛けは野獣の身支度を手伝ったりしていますし、ソファーの足置きに変えられた犬もいます。その大勢の使用人たちが、ベルをもてなしたり、舞踏会の準備をしたりと様々な形で活躍します。

しかし、何と言っても彼らが一番奮闘した場面は、ガストン率いる町の男たちが、城に侵入したときです。

全員が一致団結して侵入者と闘い、追い返します戦闘シーンとはいえ、ユーモアを忘れないのがディズニーアニメです。コミカルな戦いっぷりに思わず笑みがこぼれてしまいます。普段は喧嘩ばかりしているコグスワースとルミエールも助け合い、全員で拍手喝采する場面に、みている方も「やったね!」と言いたくなること請け合いです!

7.忘れちゃいけない!ミュージカルシーン

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ディズニーアニメと言えば、ミュージカルシーンが定番ですよね。美女と野獣では、舞踏会のシーンが有名ですし、この場面は本当に素晴らしくロマンティックで、幸せに包まれたミュージカルシーンだと思います。私も大好きなシーンです。

しかし、今回は、これとは別にもう一つ、おすすめしたいミュージカルシーンがあります。それは、舞踏会の準備をする使用人たちのシーンです。こんなにいたんだ!とびっくりするくらい大勢で踊ります。

素敵な舞踏会の夜を演出するぞ、と張り切るシーンですが、彼らにとっては、この夜が呪いを解く最後のチャンスです。人間に戻れたら、という希望をのせた歌詞は、陽気な調べで歌われていますが、彼らの本心を語っています。

そう思うとちょっぴり哀愁も感じますが、城の使用人たちが総出でパーティの準備をする華やかなシーンであり、コミカルなダンスとどんどん美しくなっていく城の様子に、気持ちがパーティに向かって盛り上がっていきます。舞踏会の始まる前にこのシーンがあるのとないのとでは大違いです。ぜひ、注目してみてください!

8.まとめ

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映画『美女と野獣』はおとぎ話のストーリーの中で、実にたくさんの人間の感情を表現しています。

まずはおとぎ話らしく、「人は傲慢になってはいけない」というような教訓がベースとしてあるように感じます。また一方でベルと野獣が愛を育む過程や、呪いが解けるか永遠にそのままかという運命の瀬戸際で、野獣や城の使用人たちが焦り、気をもんだりする様子が、しっかり描かれています。

おとぎ話では登場人物の感情の流れというのはとても単純化して語られることが多いように思いますが、そこに深く踏み込んで掘り下げてあることがこの作品の最大の魅力です。

おとぎ話で語られる”愛の魔法”は美しい夢のようなものですが、この作品では少々現実味を帯びて感じられるのではないでしょうか。子供も大人も楽しめる、おとぎ話のラブストーリー。”まだ観たことない”という方は、ぜひともご覧ください!

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