出典:SPICE
「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」は、「ファンタスティック・ビースト」シリーズ2作目となる作品です。全5作品を予定されているこの映画。今作は、世界中に魔法ブームをもたらした「ハリー・ポッターと賢者の石」の64年前を舞台としています。
「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」は、実は「ハリー・ポッター」全7作を熟知していないと、半分も理解できない内容となっています。
いまから7作もチェックできない!なんて人のために、解説を交えながら見どころを紹介していきます。
「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」とは?(あらすじ)
魔法生物を研究するため世界中を旅しているニュート・スキャマンダーが、恩師アルバス・ダンブルドアと再会し、悪の魔法使いグリンデンバルドを追うように告げられます。魔法界と人間界の支配を目論むグリンデンバルドを追って、ニュートはパリへ。
前作の仲間であるノーマジ(非魔法使い)ジェイコブや、魔法省勤務のティナ、ティナの妹で読心術のできるクイニーたちも加わり、魔法生物や仲間たちとともに活躍します。
「ハリー・ポッター」シリーズに出てくるアイテムが、今作では頻繁に登場。
オブスキュラスの宿主クリーデンスの謎も深まり、早くも次回作が気になる内容となっています。
印象に残るシーン・見どころを紹介!
「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」には、「ハリー・ポッター」シリーズに関連するアイテムなどが頻繁に登場します。その中でも、特に重要なシーンを紹介していきます。
若き日のアルバス・ダンブルドアが登場!
「ハリー・ポッター」シリーズでは、ハリーを助けるホグワーツ魔法魔術学校の校長先生として登場します。そんなダンブルドアの、若き日の活躍が今作で楽しめるんです!
まずは、彼の生い立ちを簡単に説明しましょう(今作でわりと重要なポイントとなります)。
父、母、弟、妹の5人家族で幸せに暮らしていたのですが、妹アリアナがマグルの少年に暴行を受けるという事件が発生。アリアナは自分の内側に秘めた魔法を制御できなくなります。
この状態とオブスキュラスとが関係するのかどうかはまだ明言されていないのですが、魔法を暴走させてしまうクリーデンスの状態と似通っているように思えます。
父親は娘の仇をとろうとして、アズカバンに投獄。母親はアリアナの暴走により、命を落とします。残された2人の兄弟が妹の面倒を見ることになりました。
しかし、優秀な魔法使いであるアルバスは、妹の面倒を見るのに退屈してしまいます。そんな中、ゴドリックの谷でグリンデンバルドと出会い、意気投合した2人は「死の秘宝」を探す旅に出るのですが、この「死の秘宝」というのがニワトコの杖、透明マント、甦りの石。
ニワトコの杖はのちにダンブルドアの所有物となりますが、ファンタビ2ではグリンデンバルドが所有しています。
妹の面倒を見なくなったアルバスに対して、弟アバーフォースが怒り、グリンデンバルドも交えての争いが起こってしまいます。そこに巻き込まれ、アリアナが命を落としてしまうのです。
「魔法使いがマグルを支配する世界」を夢見ていたアルバスでしたが、改心し、彼とグリンデンバルドは対立関係に。この事件の28年後が、ファンタビ 2となります。
今作で、ダンブルドアは「闇の魔術に対する防衛術」を教えています。お馴染みのホグワーツ城や呪文も登場。
見る者の秘めた願いを映しだす「みぞの鏡」にも注目です。ハリーは亡き両親の影を、ロンは栄光に輝く自分の姿を映しだしました。若き日のダンブルドアはその鏡に一体何を映すのでしょうか?
優秀で、なんでもできる校長先生としてハリーを支えていたダンブルドアの、弱い部分が垣間見えます。
懐かしのニコラス・フラメル
「ハリー・ポッターと賢者の石」をちゃんと観ている人ならおわかりでしょうが、あのニコラス・フラメルが登場するんです!ニコラス・フラメルとはダンブルドアとともに賢者の石を開発した錬金術師です。
ハリポタ1作目では名前のみの登場で、ハリーは三頭犬フラッフィーが守る賢者の石をスネイプが狙っていると勘違いして奮闘します(本当は、ヴォルデモート卿に取り憑かれたクィレル教授でしたね)。
ニコラスは賢者の石から作る「命の水」で妻とともに延命しており、ファンタビ2の時点で600歳を超えています。そんな偉大な錬金術師ですが、今作ではお茶目な老人として登場。彼が棚からアルバムを出した際、赤く光る賢者の石が見えます。
ハリポタ1作目でのハリーとヴォルデモートの対決後、ダンブルドアと協議の上で賢者の石を破壊。「命の水」が尽き死去することとなります。
リタ・レストレンジとレストレンジ家の関係性
ハリポタファンなら、レストレンジ家と耳にして、真っ先にベラトリックス・レストレンジを思い出しますよね。「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」でシリウス・ブラックを殺害し、それ以降のシリーズ作品でも悪役として登場した死喰い人です。
今作ではリタ・レストレンジという女性が登場します。彼女は前作「魔法使いの旅」で、ニュートのトランクに飾ってある写真でも登場していますが、今作では重要な秘密を握るキーパーソンです。
劇中、リタと弟のコーヴァスとがレストレンジ家最後の子だと紹介されます。しかし、ハリポタシリーズでベラトリックス・レストレンジが登場し、その後日譚である「ハリー・ポッターと呪いの子」(映画ではなく舞台)にもベラトリックスとヴォルデモート卿の娘が登場するので、ここで血が途絶えないというのは確実。
ベラトリックスはブラック家の生まれで、ロドルファス・レストレンジと結婚。劇中、ブラック家に似た家系図が映るシーンがあるので、注目してみてください!
え……、ナギニ⁉︎
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そう、“あの”ナギニが登場するんです!ハリポタシリーズでヴォルデモート卿の忠実なるしもべであり、分霊箱のひとつだったヘビ。最後は、ネビルの持つグリフィンドールの剣でやっつけられていましたね。
今作でのナギニ、なぜか女性の姿です。「マレディクタス」と呼ばれる、血の呪いを持ち、時折ヘビに変身してしまうものの、最後には完全なるヘビになってしまうという魔女の姿をしています。
今作は1927年のお話ですが、ハリポタシリーズは1990年代が舞台。それまでの間に一体、彼女に何があったのでしょう。
ちなみに、ダンブルドアがヴォルデモート卿であるトム・リドルをホグワーツに入学させるのは今作から11年後。どのようにヴォルデモート卿と絡んでくるのか、気になるところですよね。
ハリポタファン向けの作品
出典:THE RIVER
ここまでいろいろ紹介してきましたが、もうおわかりのように、「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」はハリポタファンなら1秒たりとも目が離せない内容となっています。
といいますのも、「ハリー・ポッター」シリーズに登場するアイテムがそこかしこに出てくるから。ちょっと目を離すと、もうついていけなくなります。
今作、批評家とファンとの間ではかなりの評価の差が出ているそう。きっと、「ハリー・ポッター」シリーズ全てを観ていないと全く意味のわからない内容だからでしょうね。
全作読破している私筆者でさえ、上映中、頭をフル回転させながら観ていました(それでも「えっ!ちょっと待って、いまのシーンもう1回観せて‼︎」となることが多々ありました)。
なので、今一度、ハリポタのアイテムをおさらいしておきましょう。
・ポートキー……「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」で、ハリーたちがクィディッチのワールドカップ試合会場に行くときに使用します。
・暴れ柳……「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」で登場。ルーピン先生が狼人間に変身した際の隠れ家である、叫びの屋敷を守るために植えられています。「ハリー・ポッターと秘密の部屋」では、ハリーとロンが運転する空飛ぶフォード・アングリアが衝突してひどい目に遭いました。
・フェニックス(不死鳥)……ダンブルドアのペットとして登場。「ハリー・ポッターと秘密の部屋」では、バジリスクとの対決シーンで、組み分け帽子をハリーに届ける役目を果たしました。また、不死鳥の涙には治癒能力があり、ハリーの傷を癒しています。
・ボガート……「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」で、「闇の魔術に対する防衛術」の授業の中で登場。対峙する者の最も恐ろしいものの姿に変身します。ちなみに、ハリーはディメンター(吸魂鬼)で、ネビルはスネイプ先生、ロンは巨大蜘蛛でしたね。
・「破れぬ誓い」……「ハリー・ポッターと謎のプリンス」で、スネイプとナルシッサ・マルフォイ(ドラコの母親)が結んでいました。もし2人のうちどちらかが誓いを破れば、両者とも死ぬという誓いです。
・惚れ薬……「ハリー・ポッターと謎のプリンス」で、誤ってロンが飲んでしまい、結果大変な目に遭いましたよね。今作でも、「使うと良くない結果になるよ」というふうに登場します。
クリーデンスの両親は?
出典:THE RIVER
前作で、オブスキュラスを宿し暴走したクリーデンス。魔法使いが自分の力を抑え込もうとして、制御しきれず暴走してしまうため、前作では殺されてしまったかのように見えました。
しかし、彼は生存していて、今作では本当の親を探しにヨーロッパへと来ています。
謎の多いクリーデンスが今作のキーパーソンといっても、過言ではないでしょう。前作に引き続き、彼はダークな雰囲気を伴っています。
あまり深く追求するとネタバレになってしまうのですが、今作の「黒い魔法使いの誕生」というタイトルは、グリンデンバルドとクリーデンス両方を指しているように思えます。
クリーデンスの両親が一体誰なのか?物語中で大きな謎として扱われているので、注意して観ていてください。
大人向けラブストーリーも必見
出典:THE RIVER
大人向けと書いてしまいましたが、決してアダルトなシーンがあるというわけではありません(そこはあくまでも“ハリー・ポッター”です)。
ハリポタでは思春期ならではの恋模様が描かれていましたが、ファンタビ2では大人ならではの一筋縄ではいかない、それぞれのキャラの恋の行方が気になります。
当時のアメリカでは、魔法使いと非魔法使いの結婚は禁止されています。ノーマジのジェイコブと魔女クイニーは、無事結ばれるのでしょうか。
主人公ニュートと、気の強いティナの関係ももどかしい‼︎動物好きで人間とのコミュニケーションが苦手なニュートですが、大事な人とはしっかりと向き合おうとする姿勢が健気です。そんなニュートを理解しようとし、でも“とある誤解”をして嫉妬するティナとすれ違ってしまいます。
とくに、ニュートがティナを褒めたくて、“ある魔法動物”に例えようとするのですが、女性が喜ぶような口説き文句ではないため、ためらうシーン。不器用なニュートなりにがんばって女性に思いを伝えようとするようすがかわいらしいです。
今作でも、ニュート演じるエディ・レッドメインの“変わり者”演技や、映画ならではの“雨の演出”が光ります。
もちろん、ダンブルドア役のジュード・ロウとグリンデンバルド演じるジョニー・デップにも見とれてしまいます。原作者J・K・ローリングによると、ダンブルドアは同性愛者だそう。誰に恋しているのか、気になりますよね。
映画冒頭の、“死”を象徴するセストラルが飛ぶシーンは、「ああ、これは“死”が普通に存在する物語なんだ」と、大人向けであることを暗示しているかのよう。
また、伏線に伏線を重ねたストーリー展開に、目も耳も頭もフル起動で鑑賞しないとついていけない内容となっています。「もう、J・K・ローリングったら!」と、原作者にひれ伏す勢いです。ハリポタ好きなら、そういった物語は大好物ですよね。
ぜひ、映画で確かめてください。
主な登場人物を知っておこう!
- 主人公:ニュート・スキャマンダー(エディ・レッドメイン)
- ホグワーツ魔法魔術学校の先生:アルバス・ダンブルドア(ジュード・ロウ)
- 黒い魔法使い:ゲラート・グリンデンバルド(ジョニー・デップ)
- アメリカ魔法省で働く魔女:ポーペンティナ(ティナ)・ゴールドスタイン(キャサリン・ウォーターストン)
- パン屋を経営するノーマジ(非魔法使い):ジェイコブ・コワルスキー(ダン・フォグラー)
- ティナの妹で読心術を使える:クイニー・ゴールドスタイン(アリソン・スドル)
- 謎の多い魔法使い:クリーデンス・ベアボーン(エズラ・ミラー)